第12回「乳癌の早期発見のために」 水島協同病院 外科医長 |
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マンモグラフィーによる検診の有効性 マンモグラフィーとは、乳房のX線撮影のことです。乳房は柔らかい組織でできているために、専用のレントゲン装置を使って撮影します。現在は、乳癌の精密検査として用いられていますが、検診にも用いることができます。 乳癌検診で異常がなくても、次の検診までの間に乳癌が見つかることがあります。これを「中間期乳がん」といいます。アメリカ、ヨーロッパにおいては、今までの視触診による検診では、中間期乳がんは約30%ありましたが、マンモグラフィーを併用することで10%以下に減少しています。 日本でも、乳癌検診学会が指針を出しています。五十歳以上の方には二年に一度、検診で視触診とマンモグラフィーを行なうというものです。岡山県でも2003年度から導入される予定で準備がすすんでいます。 マンモグラフィーの所見について症例を提示します。所見では、主に腫瘤と石灰化について見ていきます。図では、乳腺の上部に腫瘤影と微細石灰化を認めます。 ちなみに、乳房撮影でうけるX線量ですが、0.1ミリシーベルトとされています。住む場所にもよりますが、人体は自然界から年間2.4ミリシーベルトの自然放射線をうけています(表参照)。例えば、大地からの放射線と宇宙線をあわせて、放射能の低い関東ローム層の上に立地する神奈川県では一年に0.42ミリシーベルトですが、香川県では0.75ミリシーベルトです。二年に一度の検診によるリスクは無視できる範囲とされています。 水島協同病院では、2001年1月のマルチヘリカルCTの導入時に、最新のマンモグラフィーを購入して乳腺疾患の診断に役立てています。乳腺のしこり、異常分泌などの症状があれば、外科外来に受診して精密検査を受けましょう。 |
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