第57回:急性心筋梗塞の予防 禁煙外来を開始 | |
水島協同病院・診療部長 吉井 健司 |
急性心筋梗塞は、心臓の筋肉を栄養する血管である冠動脈の動脈硬化を基礎に発症します。ですから、予防の第一は、動脈硬化の予防です。動脈硬化を来たしやすい条件は、年を取る(加齢)、男性であるといったどうしようもない問題と、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙といった何とかなる要因に分けられます。この何とかなる四つが、動脈硬化の四大因子と言われていますが、中でも、急性心筋梗塞の発症には、高コレステロール血症と喫煙の影響が大きいと言われています。 喫煙に関しては、みずしま診療所では、今月から禁煙外来を開始しました(下表)。一個人としても社会全体としても、最も効率の良い急性心筋梗塞の予防法は、喫煙されている方が禁煙されることだと言われています。また、ご主人が喫煙されている場合、奥様の急性心筋梗塞の発症率は、喫煙されない場合より高くなることも明らかになっています。必要に応じて、ニコチンパッチ等も使っていただき、禁煙をお勧めください。 コレステロール、血圧、血糖、いずれも高くても自覚症状はありませんので、健診や日常の診療でぜひ、これらを定期的に測っていただき、ご自分の現状を知っていただくことが第一だと思います。そして、高い場合は、いずれも食生活の見直しが最初にするべきことなので、食事指導、調理教室などを利用していただきたいと思います。そうしたことをがんばっても十分な効果が得られない場合は、内服を医師と一緒に考えましょう。 薬を飲むことに、抵抗があり、健康食品などを好まれる方、長い間、内服を続けることに不安がある方のお話をよく伺います。コレステロール、血圧、血糖を改善するお薬は、長い間、飲み続けることを前提に作られており、安全性も確認されています。また、自覚症状がないだけに、どうして飲み続けないといけないのか、止めても大丈夫ではないか、というお気持ちも必ず皆様、お持ちのようです。 ぜひ、遠慮せずに医師に打ち明けてください。医師はそれを待っています。 |