第143回:口腔ケアシリーズ@ 口腔乾燥症(ドライマウス) |
歯科衛生士 沼田 彩 |
ドライマウスとは、いわゆる口腔乾燥症と呼ばれている疾患や症状の別称です。ドライマウスは加齢の症状としての認識が高く、老化現象の一つと考えられてきましたが、近年の研究では、加齢による唾液分泌の低下はほとんどみられないとする報告が多くみられるようになりました。 摂食嚥下障害や誤嚥性肺炎、口呼吸とも大きく関連していることが認められています。口腔乾燥感の自覚は、唾液分泌の低下や、口腔粘膜の保湿度低下、唾液の粘性亢進、そのほかの疾患などでも生じます。この口腔乾燥(ドライマウス)と呼ばれる症状は口腔の乾燥感だけではなく、口腔の違和感や義歯不適合など、さまざまな状態を含んでいます。 乾燥した口腔粘膜には、保湿剤配合の洗口液などを用いて粘膜保湿を行います。洗口法よりも、スプレー噴霧やスポンジブラシによる塗布が効果的です。 水を用いた保湿は保湿効果が少なく、乾燥した粘膜上を流れて気道に入りやすいので注意しましょう。 |