第180回:歯科シリーズA
歯の健康は定期的なメンテナンスから
玉島歯科診療所 歯科医師 岡 恒雄
歯科においてメンテナンスは歯の健康を維持し、快適な生活を送る上で欠かせないものです。高齢になってもメンテナンスの効果は変わりません。高齢者ほどブラッシングをしっかり行い、メンテナンスに定期的に通院することが大事です。
元気なうちに口腔ケアの仕方をマスターしておくと、高齢で外出が困難になっても手が動けば、それなりの効果が期待できます。また、たとえ寝たきりになっても自分でできないときは身近な人がケアをしてあげることが大事です。
玉島歯科では、毎月約300〜400人の方が定期的にメンテナンスに来院されていますが、一方で診療圏である玉島南部地域では急速に高齢化が進み、メンテナンスに来院できなくなった高齢者の中断が目立つようになりました。
このためこれまで定期的にメンテナンスに通っていた方で、その後3年以上中断している高齢者(62人)の調査を昨年1年間かけて行いました。
職員が自宅に訪問し、来院できなくなった理由やお口の状態、歯で困っていることはないか、などを聞き取りしました。
その結果、お亡くなりになった方(22%)、体調不良の方(17%)もいましたが、来院できなくなった一番の理由は通院するための交通手段が失われたことで全体の4割を占めました。
高齢で車やバイクが運転できなくなった。運転できる家族もいない一人暮らし。バスは停留所が遠かったり本数が少なく不便。タクシーは高額で医科の通院などもあるため毎回は無理、などいわゆる買い物難民と同じ構図でした。
この中には、歩いていける近所の歯科でメンテナンスを受けていたり、玉島歯科で買ったケア用品を指導された通り上手に使って、自宅でなんとか口腔ケアを頑張っている方もおられ、比較的きれいに維持できていました。
歯科診療所の役割は、高齢者の方々にもプラークコントロールの重要性を理解してもらい、そのレベルを維持すること。またその一人ひとりから家族、地域全体に口腔ケアへの意識を向上させることによって、地域まるごと健康づくりを広めることです。
このとりくみを今後も組合員のみなさんと大いに取り組んでいきたいと考えます。