成人の3人に1人は 「痔」 を持っていると言われます。 私たちに身近な病気ですが、 恥ずかしく、 放っておいて悪化するとやっかいです。 よく知って疑わしい症状があれば、 早めに受診しましょう。 水島協同病院の山本明広医師に話を聞きました。
▼予防
痔核は、 肛門静脈叢のうっ血が原因で発生すると考えられています。 息まないこと、 便秘しないように毎日を過ごすことが大切です。 生活の注意点としては、 毎日お風呂に入ること、 お尻を清潔に、 強く息まずに排泄すること、 長時間の同じ姿勢を避けること、 お尻を冷やさないことが大切です。
▼診断
内痔核の分類(Goliger分類)が一般的です。
I 度 出血するが脱出しない…薬物療法
II 度 脱出するが自然に入る…薬物療法、 手術
III 度 脱出するが押すと入る…手術
IV度 脱出したままで押しても還納できない…手術
痔瘻について
肛門小窩からの細菌部に膿瘍を形成、排膿するのが痔瘻です。
▼治療
痔は炎症性の病気ですから、外用薬が治療の基本です。ほとんどの症状はこれでよくなるはずです。薬でもよくならない、薬をやめるとすぐ悪くなるのを繰り返す……という場合に手術を行います。
▼手術について
痔核の切除術は、麻酔は「腰椎麻酔」という方法で行います。これは腰の背骨に細い針を刺して下半身を麻酔する方法です。手術時間は、1個の痔核切除にかかる時間は5分前後です。もし痔核が3個あるとすれば、正味15〜20分もあれば手術は終了します。(これに麻酔の時間などを加えて、30分位が平均的な時間です)
「手術後の痛みをどうやって小さくするか」についての重要なポイント
・術後の安静…横になっているのが一番楽です。体に力を入れたり硬い椅子に座ったりすると痛むことが多いです
・術直後より鎮痛剤の使用
・下痢により便をやわらかくする
・排便後の温浴が理想(お風呂に入ると筋肉が緩み魔法のように痛みが消えます)
・軟膏の効果的使用。排便数分前に半分を使い、軟膏の痛み止めが聞いてきた頃に排便し、排便後、温浴したら残りを使うというのも効果的です。
▼痔の手術後の注意
大事なことは傷が治るまで(1カ月前後)、肛門に強い力を加えないということです。まず便秘が問題です。硬い便を力んで出そうとすると肛門に強い力が加わります。適宜、便を柔らかくする薬を飲み毎日、便を出すようにしましょう。飲みすぎて下痢になると逆効果ですので、軽い下剤を加減して飲むのがポイントです。
また、痔ろうの場合は、下痢をすると再発することがあります。痔ろうの方は、便秘よりも下痢に要注意です。次に重要なのは肛門に強い腹圧をかけないことです。重いものを持ったり、長時間しゃがんだりするのはよくありません。
ありふれた病気ですが、悪化するとやっかいで、手術が必要となることがあります。軽いうちに治すことが大切です。 |