水島協同病院 副院長 |
結核とは、結核菌群によって引き起こされる感染症で大半はヒト型菌によるものです。(結核菌による慢性感染症)結核の発病部位別では85%位肺結核で占められ、以下肺結核症についてお話することとします。 肺結核の感染様式ですが、感染の大半は咳などにより結核菌が浮遊する状態になった空気を気道を介して肺の中に吸入することにより感染するものです。 肺結核の発病についてですが、発病には二つの型があります。 近年マスコミ等で、学校・病院・医療施設等にての「結核の集団感染」が取り上げられる事が多くなってきています。集団感染への対応は多大の労力を要します。今後とも集団感染防止への努力がさらに求められます。とりわけ結核の早期診断が重要です。 肺結核の診断は、持続する咳・痰・微熱等の症状、胸部レントゲン・胸部CT検査、痰の結核菌検査(気管支鏡も利用)、ツベルクリン反応、血沈等の血液検査等にて総合的に行います。日常結核を念頭において診断していくことが重要です。 肺結核の治療についてですが、喀痰中、結核菌陽性の場合、結核治療専門病院に一定期間入院していただきお薬の六〜九カ月間の内服治療が基本となります。肺結核は早期診断・早期治療にて克服できる病気です。但し発見・診断が遅れると重大な事態を引き起こす可能性もあり、何といっても早期診断・早期治療が重要です。 現在、全世界で新たに発病する結核患者は年間約八百万人、約三百万人が結核で死亡していると言われています。単独の感染症による死亡で見ると第一位です。わが国においては現在でも年間約三万五千人の新規登録患者があり、約二千五百人が死亡している感染症です。戦後著しく減少した結核は近年減少鈍化傾向にあり、結核は決して過去の病気ではなく現在もなお重要な感染症の一つであり、今後もその対応を強めていく必要があります。 |